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アルツハイマー病は、
老年期に発症して徐々に進行する痴呆症で、
本質的にアルツハイマー(Alzheimer)病との違いがみられず、
65歳以上で発症したものをアルツハイマー型老年痴呆と呼ぶ。
厳密には、
アルツハイマー病では皮質の変性が大脳全般にみられるのに対し、
アルツハイマー型老年痴呆では
海馬などの側頭葉内側部に限局しているという違いがある。
わが国では、65歳以上の老年者の
約4%に器質性痴呆がみられる。
以前はそのうちの約30%がアルツハイマー型老年痴呆、
約60%が脳血管性痴呆といわれていた。
最近はアルツハイマー型痴呆が優位になったといわれている。
家族性アルツハイマー病は全Alzheimer病の10−30%にみられる。
発症年齢によって若齢発症型(65歳未満の発症)と
高齢発症型(65歳以上の発症)に分類される。
家族性アルツハイマー病では、
21番、14番、1番染色体上に原因遺伝子が同定されている。
アルツハイマー病および
アルツハイマー型老年痴呆をきたす原因は、
広範な神経細胞脱落と考えられる。
神経細胞脱落の原因は完全に解明されたわけではないが、
β-アミロイド蛋白の沈着を伴う老人斑が細胞外に沈着するためと推測されている。
老人斑の出現とともに、神経細胞内に神経原線維変化がみられる。
アルツハイマー型老年痴呆の発症に、アポ・リポ蛋白遺伝子のε4アレルの存在が多い。
その他の原因遺伝子として
アミロイド前駆体蛋白、プレセニリン-1、プレセニリン-2などがある。
アルツハイマー病の経過は3期に分かれ、
前期には記銘・記憶障害や見当識障害が中心で日常生活は自立できる。
中期には大脳巣症状に加えて周辺症状も加わり半介助の状態となり、
後期には高度痴呆状態となり、最後は寝たきりとなり全介助の状態となる。
全経過は15−20年である。
前期で物忘れが多くなる場合は
アルツハイマー型老年痴呆が疑われるが、
人格変化が主体の場合はうつ病などと間違えられることもある。
アルツハイマー型老年痴呆では、
アルツハイマー病に比較して、
失語、失行、失認などの神経心理症状は明確に出現しにくい。
アルツハイマー型老年痴呆の特徴は、
記憶障害に加え、人格変化、意欲低下、時間や場所の失見当識である。
診断は、
生理的物忘れ、せん妄、うつ病、薬剤因性障害をまず鑑別し、
次に画像所見や臨床症状、経過から
血管性痴呆をはじめ他の痴呆性疾患を鑑別する。
初期にはWAIS(ウェクスラー成人知能スケール)などで詳しく調べられる。
失語、失行、失認などの有無もそれぞれのテストで確認される。
CT・MRI検査で脳萎縮が確認され、
特にMRIでは冠状断で海馬周辺の萎縮が評価できる。
SPECT検査では
早期に両側頭頂・後頭葉の血流低下がみられることがある。
脳波検査では
進行とともに徐波化がみられる。
老年者の場合、
痴呆であるのか、うつ状態による仮性痴呆であるのかを鑑別する。
高齢者は循環障害、発熱などでせん妄をきたしやすいので、
意識障害を伴うせん妄状態でないことを確認する。
痴呆をきたす疾患を鑑別する必要がある
痴呆性疾患の9割がAlzheimer型痴呆と脳血管性痴呆であるので、
必ず脳血管性痴呆を鑑別する必要がある。
現在のところ進行を止めるよい薬物はない。
アルツハイマー型痴呆において
脳内アセチルコリン活性の低下がみられるため、
各種のアセチルコリン系賦活薬が試みられている。
その他、抗炎症薬や脳代謝賦活薬も試みられる。
現在のところ心理的・環境的ケアを十分に行い、
やすらぎのある生活を送ることが
日常生活能力を低下させない重要な因子となっている。
進行の速度を抑制する薬剤として、
塩酸ドネペジルが使用される。
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